新潟県よろず支援拠点コーディネーターの伊藤です。
今回は「後継者対策の早期着手の重要性」について説明させていただきます。
はじめに
後継者問題の実情について帝国データバンクが2024/11/22付レポートで以下の内容を公表しています。
「地域経済や雇用を支える中小企業。近年は後継者が見つからないことで事業が黒字でも廃業を選択する企業は多い。日本政策公庫が2023年に実施した調査では60歳以上の代表者のうち、60%超が将来的な廃業を予定していた」
いかがでしょうか。大変ショッキングな内容と思いませんか。
ご承知の方も多いと思いますが、日本企業全体数の99.7%を占め、雇用者全体の約70%を占めている中小企業の後継者問題の実情です。
したがいまして今回のコラムではこのような状況を踏まえ、少しでも後継者不足による廃業を回避し、雇用が守られることを切に願い記載させていただきます。
最初に
後継者問題について整理したいと思います。
会社の経営を引き継ぐ人がいないために、事業の継続が難しくなることです。近年、この問題は深刻化しており、特に中小企業では上記レポートにある通り、廃業もしくは倒産に追い込まれるケースも増えています。
最近の帝国データバンクの調査では経営者の52.1%が「後継者不在」と回答しており、日本政策金融公庫の調査では、実際に後継者が決まっている企業はわずか10.5%にとどまっているとのことです。
後継者問題が深刻化している背景には、下記のようないくつかの要因があると考えられます。
(1)少子高齢化問題
そもそも日本全体の少子高齢化が進み、後継者候補となる若年層の人口が減少しています。特に地方(新潟県等)では若者の都市部への流出が後継者不足・人手不足に拍車をかけています。
(2)親族内承継の減少
これまでの日本では親族が事業を継ぐのが一般的でしたが、子供の数が減ったり、子供が様々な要因などにより事業承継を望まなかったりするケースが増えています。
特に会社の借入金に対する連帯保証問題も大きいと考えられています。
(3)事業の将来性への不安
昨今の原材料費高騰や人手不足、コロナ感染症の影響等による過剰な債務負担など、中小企業を取り巻く経営環境は特に厳しく、事業の先行きに不安を感じる経営者や後継者候補も少なくないといわれています。
(4)事業承継の準備不足
後継者の選定や育成には時間がかかりますが、事業承継の準備が十分にできていない企業が多いことも問題の原因です。後継者育成にはおおよそ5年から10年かかるともいわれていますが、現実はほとんど準備がされていない企業が多いと考えられます。
この問題は「何とかなる」問題ではなく、計画的に早期の準備と着手が必要です。
次に後継者問題について様々な解決策を考えてみましょう。
(1)親族内の承継
後継者候補が早いうちから育成でき、従業員や取引先からの理解も得られやすいというメリットがあります。ただし場合によっては相続税や贈与税の負担が大きい点や候補者が必ずしも承継を望まない可能性もありますので親族内承継を考えているのであれば早期の決断と計画的な準備をお勧めします。
(2)親族外からの承継
親族以外から後継者を選ぶ方法では大きく分けて以下2つがあります。
①社内での後継者育成
会社の役員や従業員の中から、適任者を選んで事業を引き継ぐ方法です。
社内の事情をよく知る人物が引き継ぐため、比較的スムーズな承継が期待できます。
②外部からの登用、M&Aなど
外部から経験豊富な人材を招いたり、M&Aによって会社を他の企業に引き継いだりする方法も有効です。最近では中小企業のM&A件数も増加傾向にあり、後継者が見つからない場合の対策として注目されています。
次に準備期間などについて考えてみます。
(1)事業承継の準備期間は一般的には5年から10年が目安とされています。
現在の経営者が少なくとも50歳頃からは準備を始めるのが良いと考えます。
なぜ、相応の期間が必要なのでしょう。
例えば、社内承継の場合では企業理念や経営方針、従業員・取引先との関係構築など、多岐にわたる教育が求められます。
また、会社の資産状況や経営課題を明確にし「見える化」する作業は時間を要します。これにより、後継者は会社の全体像を理解し、円滑な引き継ぎが可能となります。
(2)事業承継においては相続税や贈与税などの税金が発生する可能性があります。税理士などの専門家と相談しながら資金計画を立て、株価対策を含めた節税対策を講じるためには十分な準備期間が必要です。
(3)株主や従業員、取引先など多くの関係者の理解と協力が必要となるため、それぞれの合意を得るまでには相応の時間がかかることもあります。特に株主が分散している場合や親族以外の役員が株式を保有している場合には調整に時間を要する傾向があります。
いかがでしたでしょうか。
事業承継についての課題は多岐にわたるため、最適な方向性と解決策を講じるためには早期準備と着手が必要と考えます。
新潟県よろず支援拠点では事業承継に関する相談に対して様々な知識と経験豊富なコーディネーターがおりますので、遠慮なく何度でもご相談してください。
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