こんにちは。
新潟県よろず支援拠点コーディネーターの吉原です。
経営指標。
なんだか難しい言葉ですが、「会社の経営状態を数値で表したもの」になります。
決算書の数値をもとに、会社の状態を客観的に見ることができますが、指標がいくつもあって、正直どれを参考にしたら良いのか、わからない方も多いのではないでしょうか。
いくつもある経営指標のなかでも、規模が小さな会社が参考にしたい経営指標について解説していきます。
1.営業利益率
本業でどれくらいの収益を上げられているか、を表しています。
「営業利益率=営業利益÷売上高×100」で表します。
ですが、例えば売上高5,000万円、営業利益200万円とした場合、4%の営業利益率となりますが、その4%が、良かったのか悪かったのかがわかりません。
ですので、過去の年度との推移を比較していきましょう。
下表のように年々売上高は増加して成長している会社、と思いがちですが、実は営業利益が減少している場合も見受けられます。
販売価格の低下、原材料費や人件費の高騰、販促費の増加など、価格競争が激しい業界などで売上高を伸ばすために価格を下げ、その結果、利益率が低下してしまうことがあります。
令和4年 | 令和5年 | 令和6年 | |
売上高 | 6,000 | 7,000 | 7,500 |
売上原価 | 2,200 | 2,500 | 2,700 |
売上総利益 | 3,800 | 4,500 | 4,800 |
販管費 | 3,200 | 4,000 | 4,400 |
営業利益 | 600 | 500 | 400 |
営業利益率 | 10.0% | 7.1% | 5.3% |
電気代の高騰、賃上げなど人件費の増加分が売上高の増加分より多く、コストが回収できていないという状態といえます。
ですので、売上高の比較と合わせて営業利益率推移を確認していきましょう。
2.現預金固定費比率
現金・預金が固定費の何ヶ月分の余裕を持っているか、若しくは、売上がゼロでも何ヶ月耐えられるか、を表しています。
「現預金固定費比率=現預金÷1ヶ月あたりの固定費」で表します。
例えば、現預金200万円、1ヶ月あたりの固定費60万円とした場合、3.3ヶ月分の余裕がある、といえます。
概ねの目安として3ヶ月分、できれば6~7ヶ月分あれば、資金繰りに振り回されることなく、時間や気持ちに余裕を持てるといえます。
もし、1~2ヶ月分でしたら、借入を起こすなど手元の現預金を厚くすることも考えて見ましょう。
なお固定費ですが、販売費及び一般管理費をそのまま固定費とする、或いは人件費が多く占める場合は人件費を固定費として考えるなど、会社の状況に応じて変えてください。
固定費は会社により異なるため、一概に「○ヶ月分が理想」ということはなく、会社の状況に応じて判断してください。
3.債務償還年数
いまある借入金を何年で返すことができるか、を表しています。
金融機関が融資先の財務を分析する際に見る指標になります。
目安は10年といわれ、年数が短いほど優良な会社と判断されていますが、近年はコロナ禍を経て10年より長く見る場合もあります。
債務償還年数は金融機関によって考え方が異なることから、会社の事業内容などに応じて、より実状に近い方法で算出されますが、ここでは簡易的に算出できるやり方をご紹介します。
「債務償還年数=借入金残高÷償却前利益*」
例えば、借入金残高2,000万円、償却前利益400万円とした場合、5年で返済できるといえます。
*償却前利益
減価償却費を差し引く前の営業利益で、借入金の返済能力を表しています。貸付をしている金融機関もチェックする指標になります。
「償却前利益=営業利益+減価償却費」で表します。
4.実質キャッシュ
手元にいくらのキャッシュ=現預金があるのか、を表しています。
「実質キャッシュ=現預金残高-借入金残高」で表します。
例えば、現預金残高200万円、借入金残高150万円とした場合、50万円が実質キャッシュとなり、借入金を返済しても手元にお金が50万円残ることを表し、実質無借金経営といえます。
いつでも借入金を返済できるけど、コロナ禍のような不測の事態に遭遇した場合や、金融機関との付き合いの中で手元の資金を潤沢にしておきたい、など理由は様々ありますが、ある意味理想的な会社の状態と言えます。
反対に、現預金残高200万円、借入金残高300万円という場合、実質借入が100万円ということを表し、将来稼ぐべき利益が100万円ある、という状態です。
借入金は、「将来の利益の前借り」と言えるので、このような場合、100万円の借入分を稼がないと完済できない。ということが言えます。
いくつもある経営指標のうち、4つをご紹介しました。
貴社の決算数値をもとに計算して、会社の状況を客観的に見てみましょう。
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