新た能力評価制度の導入に向けて

新潟県よろず支援拠点コーディネーターの木村です。

今回は、新たな能力評価制度の導入についてお話します。

 

1.事業目的(目標)を達成するためのプロセス管理機能

 

「目標による管理」は、一般的には成果主義型評価制度と位置付けられており、賃金・賞与・昇格の決定機能ばかりが強調されていますが、本質的な部分は事業目標を達成するためのPDCAサイクルを確実なものにするための「フレーム」として位置付けられるものです。

従って、その運用においては、経営者による事業全体の経営目標の提示から、部門目標を経由して社員一人一人が設定した個人目標の設定まで、それぞれ整合性のある目標連鎖の確認と具体的な達成行動プロセスの可視化(共有化)が必要とされます。

 

2.組織カルチャーを形成するための要求基準機能

 

新たな能力評価制度においては、組織カルチャーを形作るためのツールとしての機能を持たせることが求められます。

すなわち、評価項目そのものが組織カルチャー(経営者の理念や理想とする姿)を表現するものである必要があり、単なる要求スキルのみの提示ではなく、そのスキルを必要とする背景、目的・戦略性、そこに内在する経営者の方針や期待などが包含されるものでなくてはなりません。

 

3.ナレッジ・マネジメントとしての共有化機能

 

能力評価をとおして、個人に蓄積されたナレッジの共有と公開をシステム化し、その効果的活用をはかることも、能力評価制度の新しい機能として考えられています。

個人のもっている高度なノウハウを「目標による管理」制度に組み込み、「ナレッジ(達成行動プロセス)」を可視化し、これらを共有することで組織全体のレベルを高めていくことが狙いです。

この場合、目標のブレークダウンの仕組みが機能していて、設定した目標と達成行動が組織あるいは部門の目標や方針に沿ったものであり、これらと整合性があるかどうかを検証する仕組みを組み入れることが不可欠です。

成功のポイントは、業務プロセスの可視化により、誰が何を考え、どのような目標を設定し、その具体的達成行動と結果(成果)について組織全体が共有し理解できていることです。

 

4.能力開発を目的とする評価機能

 

これからの能力評価制度は、「能力開発」をキーに構築されるものになります。

自己の能力への「気づき」を求め、獲得すべき「能力課題」を明確に定義し、その「獲得プロセス」を確実にフォローし、「結果をフィードバック」していく仕組みが、新たな能力評価制度の基本的な機能となります。

従って、能力評価は開発すべき能力課題を発見するための手段として位置付けられ、能力課題を見つけたらそれを獲得するための具体的行動計画を作成し、実行し、達成度や意欲を評価し、その結果を次の能力獲得行動につなげていくPDCAをバックアップすることが、新しい能力評価制度の役割となります。

 

5.成果とプロセス評価による賃金・賞与の決定機能

 

新たな能力評価制度では、目標達成のための具体的行動を評価する「プロセス評価」と、仕事の成果(目標達成度)を評価する「業績評価」とを区分して評価するようにします。

賃金制度とのリンクにおいても、この2つの区分の評価結果をそれぞれダイレクトに反映できる仕組みに変わりつつあります。

プロセス評価による賃金決定の方法としては、職務(職責)とそのグレードに価値付け(役割評価)を行い、昇給などの賃金の定期改定に反映しています。

また、賞与の決定では、「目標による管理」の評価結果と部門業績をポイント化し、ダイレクトに反映します。

最近では、職務グレード評価と個人・部門業績評価を組み合わせた、二階建て賃金体系も増えてきています。

 

よろず支援拠点では、能力評価制度に関するご相談にも対応しております。

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