管理会計のすすめ

新潟県よろず支援拠点コーディネーターの田中です。

「管理会計」という言葉を聞いたことがありますか?

企業の会計は「財務会計」と「管理会計」の二つに大きく分けられます。
事業者は必ず決められた決算月(個人事業者は12月)で決算書を作成します。これは企業会計原則などに基づいて作成されるもので、財務諸表の一つであり「財務会計」と呼ばれる分野のものです。決算書を税務署へ提出することは強制的であり、外部の利害関係者(金融機関など)にも報告する場合があります。
一方「管理会計」では、報告書などの資料作成は自由であり、外部に報告する義務もありません。利用するのは企業内部の経営管理者で、意思決定や業績評価を目的として作成されます。
「財務会計」と「管理会計」の違いまとめたものが以下の表です。

財 務 会 計 管 理 会 計
会計情報の種類 財務諸表など 予算書、原価報告書など
利用者 企業外部の利害関係者 企業内部の経営管理者
目的 説明・調整 意思決定・業績評価
報告の要求 強制的 自主的
規制 企業会計原則など なし
主体 企業全部 部門、製品、プロジェクトなど
期間 決算期間 予算期間、プロジェクト期間など
評価手段 貨幣 貨幣、物量
視点 過去 未来

出典:高橋真一 編著「管理会計入門ゼミナール」(創成社)

表の最後の項目「視点」が、二つの会計の大きな違いと言えるでしょう。管理会計は、より良い未来を作り出すためのものです。専門書を開くと難しい内容が並んでいたりしますが、そこまで高度なことでなくとも原価計算や部門別損益計算書を作成する、ということだけでも未来を考える上で非常に有効です。
私は、事業再生や経営改善計画の作成に関する相談を受けることも多く、業績不振の原因がどこにあるのか、何を正さなければいけないのかを分析します。時々、製造業や建設業なのに原価計算をきちんと行っていない、とか、複数の事業を展開しているのに事業ごとの利益が把握できない、といった案件に遭遇します。その場合、業績不振の原因解明に時間を要します。原価計算や部門別損益計算は原因解明には不可欠なのです。むしろ早くから取り組んでいたのなら、その企業が業績不振に陥り、資金繰りに窮するようなこともなかったかもしれません。
管理会計を導入するか否かは自由です。しかし、未来に向けた舵を早く切っていくためには、それぞれの企業に応じた管理会計制度を構築していくことをお勧めいたします。

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