こんにちは。
新潟県よろず支援拠点コーディネーターの山崎勝雄です。
数年前のことですが、中古車販売店の不正や街路樹の伐採といった事件が報道されました。現在、その企業はスポンサー企業に買収され、社名も変更されています。
私の記憶では、これらの問題の背景には「環境整備点検」という社内制度が存在し、その点検で厳しく叱責されることを恐れた従業員たちが、必死に清掃活動を行う中で、行き過ぎた行為として街路樹にまで手を出してしまった、という経緯があったようです。
このような事例や企業の不祥事に触れるにつけ、上手くいっていたことが、逆にうまくいかなくなる典型的なパターンなのだと感じます。
マスコミからの情報に基づく判断となりますが、下図に示すような「上手くいくサイクル」が、いつの間にか「悪化するサイクル」へと変貌していたにもかかわらず、その変化を経営層が認識していなかったことが、この問題の最大の課題だったのではないでしょうか。
この件では、環境整備点検やノルマの強化が特に注目されていますが、一般的な企業においても、過去の成功体験を見直さないことによって、徐々に悪いサイクルに陥っている事例を見聞きします。
(例えば、OJTだけで上手くいった企業が、依然としてOJTのみに固執し、人材育成が停滞してしまうなど)
この件に限らず、ある経営手法や経営の考え方が登場し、もてはやされる時期がある一方で、時が経つにつれて、別の手法が次々と書籍やトレンドとして紹介されます。これは一体なぜでしょうか?
経営は、人が行う複雑な問題である以上、特定の手法や考え方が万能ではないことは当然です。
しかし、意外と見落とされがちなのは、その手法や考え方が成果を生み出すための前提条件がしっかりと考慮されているかどうか、という点です。
成果が出る条件は、企業によって異なりますが、同じ企業であっても、成長段階や外部環境の変化によって、かつて成功した条件が当てはまらなくなることも少なくありません。
様々なコンサルタントが、「こうすれば成果が出ますよ」と提案してくるかもしれませんが、重要なのは、成果が出る条件をしっかりと見極めること、そして、たとえ成果が出たとしても、その状況を見直し続けることです。さらに、異なる視点から条件を見直してくれる助言者の存在を持つという「見直す力」を、併せて整備しておくことを強くお勧めいたします。
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