魔法の杖 ??

こんにちは。
新潟県よろず支援拠点コーディネーターの山崎勝雄です。

「人手不足の解消」や「生産性の向上」には、AIやロボットが貢献するという話は、マスコミに登場する評論家の方々がよく語ります。
果たしてこれらの道具は、これらの課題に大きく貢献する「魔法の杖」なのでしょうか?

 

1. AI(生成系AI含む)とロボット(AIが支援するものを含めて)の違い

生成系AIという場合、そのほとんどがコンピュータ(スマホを含む)の世界の話です。
ほとんどがクラウドで処理されるため、利用者が事業者に支払う金額はそれほど大きくないと考えられます(現時点でも、月額20~25ドル程度です)。

一般に企業の部門で考えるなら、パソコンでの仕事が主体の事務系作業に関連の深い分野、別の言葉でいうならホワイトカラーに相当する仕事への影響が大きいと言えます。

一方、ロボットというと、生産現場やブルーカラーの作業に相当する仕事に影響します。事務系のAIとの違いは、手足に相当する部品や目に相当するセンサー、これらを通信する手段、通信結果を制御するもの、必要な制御プログラムなどで構成される点です。

そうなると一台の価格は、数百万円から数千万円の桁になりそうです。
特定の技術に特化した特殊な製品であれば、さらに高価になることもあり得るでしょう。

 

2. 人手不足に関して

では、人手不足はどこで起きているのでしょうか?
帝国データバンクの資料を見てみましょう。

(出典:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査」)
詳細:https://www.tdb.co.jp/report/economic/fsv0fm0oxru2/
情報サービスや金融はいわゆるホワイトカラーですが、旅館、建設、自動車、運輸、医療、飲食はほとんど手足を動かす仕事のように思えます。

 

3. AIやロボットとの関係性

3-2. 情報サービス
まず情報サービスについて考えてみましょう(金融は中小企業が少ないため除外します)。
この業界は、まさに生成系AIが最も相性の良い分野でしょう。すでに簡単なプログラムは生成系AIで作成できますので、今後さらに進化していくでしょうし、それに伴う導入コストも下がっていくように思われます。だとすると、この業界の人手不足はある程度解消していくのでしょうか(実際にはそうならないと考えていますが、今回は言及しません)。

3-2. 自動車などの製造業や建設業
自動車などの多くの製造業の大手では、生産ラインに多くのロボットが導入されています。これはなぜ可能なのでしょうか? それにもかかわらず人手が必要なのはなぜでしょう?

いくらAI頭脳がついたロボットだとしても、人間の手足ほど複雑で変化する作業をこなせるものはなかなかありません。仮にあったとしても、かなり高価になるはずです。

仮に複雑な作業でも、年がら年中同じ作業であれば、ロボットが適していますが、大手であっても現代では同じ製品を作り続けることは少ないはずです。 そうなると、大手といえども、量が多い製品の生産にはロボット化を進めるかもしれませんが、そうでない仕事は、人で実施するか、中小企業に外注する形になるはずです。

中小企業の場合、一般に小ロット化がさらに顕著になるため、ロボット導入によるメリットを受けにくいことになります。

 

4. どう考えるべきか

AIにしてもロボットにしても、経営にとっては特定の「資源」であり、売上や利益を得るための手段に過ぎません。

一般に新しい「資源」を手に入れれば費用がかかるため、その費用を賄って余りあるものでなければ費用対効果がないと言えます。

どの企業でも、利益や売上に貢献する「魔法の杖」ではないという前提の上で、自社に合った資源を強化することが大切だと思います。

私がお客さまによく言うことですが、 「設備は購入したときからどんどん劣化します。人材は、採用したときから成長する可能性があります。どちらが得策でしょうか?」

 

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