顧客別ポートフォリオを作成してみましょう!

新潟県よろず支援拠点の木村です。
今回は顧客別ポートフォリオ(PPM)の作成と活用についてお話しします。

1. 顧客別ポートフォリオとは

顧客別に収益性(粗利益率等)を把握し、時系列でその変化を確認することで、顧客別営業戦略(価格交渉も含む)を検討することができます。
また、不採算顧客(今後の成長性確認は必要)との取引を見直したり、受注比率(顧客の発注可能総額に対する自社の受注割合)や、顧客の売上成長と自社の売上成長の差異分析(顧客の売上成長率と自社のその顧客に対する売上成長率の差)により、競合への受注流出状況の把握や顧客との関係性推移について確認することができるようになります。
顧客別粗利益(限界利益も可)の把握には、製品(商品)別収益力(個別の売価と原価の差異)の把握が前提になります。

2. 顧客別ポートフォリオの例と作成方法

顧客別ポートフォリオを視覚的に理解するためには、グラフ化が非常に有効です。
バブルチャートで表すことができますので、それを時系列で比較することで対顧客戦略等に活用することが可能になります。

作成方法は以下のようになります。

① 製品別(商品別)の粗利益を把握します。製造業の場合、個別製造原価と販売価格との差が粗利益になります。
② 製造業の場合は、個別製造原価計算が非常に重要になります。儲かっている製品なのか赤字製品なのか、正確でなくてもかまいませんので数値で判断できるようにすることがポイントです。
③ その製品別(商品別)粗利益を顧客ごとに集計し、顧客別の粗利益率を計算します。(グラフの縦軸)
④ 自社における顧客別売上高を集計し、その伸び率を計算します。(グラフの横軸)

本来であれば、受注比率(顧客の発注可能総額に対する自社の受注割合)、あるいは顧客自体の売上伸び率と自社における顧客別売上の伸び率の差が重要なのですが、受注比率や顧客自体の売上伸び率が把握できない場合は、自社における顧客別売上の伸び率でもかまいません。

⑤ 自社売上高に占める顧客別売上高の構成比を計算します。
⑥ 以上のデータにより、バブルチャートを作成します。
⑦ これを毎年時系列で比較分析ができるようにチャートを重ねていきます。(例では重ねていません。)

3.顧客別ポートフォリオの活用方法

① 顧客ごとに将来的な取引継続のメリットやリスクを把握することで、重要顧客との積極取引方針や営業施策の決定、あるいは低収益顧客との取引廃止や段階的縮小など、今後の顧客戦略を決定することができます。
② 個別原価計算により、不採算あるいは低収益製品(商品)の価格改定交渉や、製造原価引き下げの検討にも活用できます。
③ 横軸を受注比率(顧客の発注可能額に対する自社の受注割合)とした場合や、顧客の成長と自社の成長の差異分析により、競合への流出状況や、顧客との関係性変化についても確認することができます。

一度、この顧客別ポートフォリオ分析を行ってみてはいかがでしょうか。

新潟県よろず支援拠点では県内の中小企業、小規模事業者、起業・創業予定者等の経営に関するお悩みを各分野の専門家が無料で相談対応いたします。
お悩み、ご相談がある方は下記リンク先のご相談申込フォームよりお申込みください。

ご相談申込フォーム

関連記事

PAGE TOP