新潟県よろず支援拠点コーディネーターの笹川です。
昨今、様々な環境変化で、大変な思いをされている企業も多いですが、業績が上がらないと、資金繰りなど、本業とは違う場面での苦しみも増えてきます。
特に、これまでのコロナ禍で、営業が全くできない、という事態に陥った企業・お店も少なくありません。
そんな中でも、社員の給料や様々な固定費、そして金融機関への返済など、月々のお金は出ていきます。
下図は、国のデータで、仮に、「売上高がゼロ」の場合に、手元にある流動性の高い(換金しやすい)資産で、
どれくらいの間、固定費が賄えるか、を示したデータです。
業種によって異なりますが、コロナで影響を大きく受けた宿泊業や飲食サービス業の資金繰りが厳しくなっていることが分かります。
特に、資本金1千万未満の規模の会社では、固定費を賄える期間は平均で、宿泊業で0.24年(約3ヶ月)、飲食サービス業では0.47年(約半年)と他業界と比べても非常に短くなっています。
様々な環境変化に耐えながら、事業の立て直しを図ったり、新しい取り組みを検討・実施していくには、当然、時間がかかります。
従って、手元資金の余裕は、その事業の見直しに使える時間の量、とも言えます。
様々な国や県の支援策の活用、金融機関への早めのご相談など、常にアンテナを張って、資金に余裕を持つ努力が非常に重要な時期になっています。
さて、業績が厳しくなると、当然、まずは現状のコストの見直しで乗り切ろうと考えます。
ただ、固定費の中で大きなウェイトを占める人件費は、安易に削減しづらい…、
他のコストも普段から無駄遣いしている訳ではないので、あまり大きな効果も見込めない…
(それでも、何にいくら使っているか、再度見直しは必須です)
とすると、やはり「売上アップ」が大事だ、となる訳ですが、売上が上がれば、問題は全て解決するのでしょうか?
確かに、売上が上がれば改善しそうですが…
では質問です。御社は、「毎月いくらの売上があればいいですか?」
先ほどのデータ例で言えば、「毎月いくらの売上があれば、月々の固定費と返済を賄えますか?」
(ちなみに、この売上を損益分岐点売上、と言います)
つまり、「いくらの売上を上げれば、必要なお金が手元に残るのか?」
売上は上げたい、でも、目標が分からないままでは、なかなか効果は上がりません。
目標=ゴールがないと、社長も資金繰りで困りますし、社員の方も、どこまでどう頑張ったらいいか、分からないかもしれません。
でも実は、必要売上を考えるのは簡単です。
「必要な利益から、逆算で考える」
分かりやすいように、超簡略化します。
先ほどの例で言えば、「固定費+返済」分が、最低必要な利益(粗利)です。
利益率(粗利率)は業界・会社により様々ですが、最低必要な利益を、自社の利益率(粗利率)で割り戻すことで、最低限必要な売上が分かります。
ただし、この状態では「収支トントン」ですので、「固定費+返済」に、残したい利益を加えて計算すればOKです。
売上アップは多ければ多いほど良い、ではなく、しっかりと根拠のある売上目標を立てること、
その目標を社内でもしっかり共有し、社長だけでなく全員でその方法を考えること。
(なぜ、その利益額が必要なのか、も明確にすることも大事です)
厳しい環境だからこそ、事業をしっかりと継続できる、根拠ある売上目標を明確にして取り組んでいくことをお勧めします!
※新潟県よろず支援拠点では、販売促進に関する個別相談会を開催しています。
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