5Sの効果 -時間やお金で測れない大切なこと-

こんにちは。
新潟県よろず支援拠点コーディネーターの鈴木裕之です。

5S活動が会社にとって良い効果をもたらすことは皆さん共通の認識ではないでしょうか。では、5Sの“効果“とは何でしょう?

5Sは
① 整理
② 整頓
③ 清掃
④ 清潔
⑤ 躾(しつけ)

です。

「整理」で不要な物を捨て、必要な物だけを決められた場所に「整頓」すれば、物を探す時間が減り、工具や材料を手に取る動作時間が短くなり、時間当たりの生産数が増大されます。
「清掃」によって異物不良や機械故障が減れば、費用ロスが削減されます。
身だしなみを「清潔」に保てば、お客様から信用されて注文を増やすチャンスが生まれます。
①から④を「躾ける」ことで行動を持続させます。

このように、無駄な時間が減って利益が増える効果が期待できます。

 

さて、時間とお金という数字で測れる効果を“表の効果”とすれば、実は5Sには“裏の効果”があるのです。
それは、『全員参加の5S活動によって共同体意識が育まれる』 ということです。

自分が「原始的な群れ」の一員だと想像してみてください。
群れが生き残っていくために仲間と心を通わせ、信頼し、貢献し、そして感謝されることで幸福を感じます。これが原始のヒトが現代よりも強く持っていた共同体意識です。
全員が一緒に一つのことに貢献することで共同体意識が生まれ、育ちます。

共同体意識によって会社では次のような効果が得られます。

  • 隠蔽や不正などの背信行為を防ぐことができます
  • 相互の承認や感謝によって社員の満足度が上がります
  • 社員の間に対話が生まれ、イノベーションのアイデアが出るようになります

 

共同体意識を育てることを意識していただくために、私のご支援では次のように5つめのSを変えてお話ししています。

① 整理
② 整頓
③ 清掃
④ 清潔
⑤ 修養から習慣へ

「修養」とは簡単にいうと「自ら努めること」です。
禅寺の作務をイメージしてみてください。全員参加で、声を掛け合ってかまいませんが集中して、ピリッとした空気を感じながら力を尽くす。それが「修養」です。
全員で一斉におこなう「修養」活動から共同体意識が生まれます。

そして、この「修養」をたゆまず継続することで、①から④の行動が一人ひとりの「習慣」になっていきます。
指示されなくても床にゴミが落ちていたらパッと拾える、機械が汚れていたらサッと拭ける、それが「習慣」です。共同体意識が育っていきます。

 

「5Sはやりつくしました。次は何をすればよいですか?」という声をよく聞きます。
たしかに、これ以上やっても作業時間も費用も減らない、数字で測れる効果は上がらないということはあるでしょう。

しかし、共同体意識を育むことで、品質不正の芽を摘み、離職を減らすことができます。
また、社員全員が「同じ群れの一員」という意識を持って「一緒に生き残ろう!」と思えるならば、組織の壁を超えた対話が活発になり、商品開発・設備設計・生産改善・販売戦略などなどでイノベーションのアイデアがどんどん生まれてきます。

5Sは「生き残る群れ」になるための活動です。ぜひ5Sの“裏の効果”を信じて活動に取り組んでみてください。

 

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