副業・兼業について【後編】

新潟県よろず支援拠点コーディネーターの永田です。

 

【前編】にも書きましたが副業・兼業について厚生労働省が作成した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では「副業・兼業に関する裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であり、~以下省略」との記載があり、さらに「裁判例を踏まえれば、原則、副業・兼業を認める方向とすることが適当である。

副業・兼業を禁止、一律許可制にしている企業は、副業・兼業が自社での業務に 支障をもたらすものかどうかを今一度精査したうえで、そのような事情がなければ、労働時間以外の時間については、労働者の希望に応じて、原則、副業・兼業を認める方向で検討することが求められる。」としています。

では、制度を導入するとして、企業としてはどの様なことに気を付けなければいけないのでしょうか。

ガイドラインでは企業が留意する必要がある点として次の事項を挙げています。「安全配慮義務、秘密保持義務、競業避止義務、誠実義務、副業・兼業の禁止又は制限、労働時間管理。」詳細はガイドラインをご確認いただきたいのですが、今回はこのうち、労働時間管理についてやや細かくご説明します。

まず、労基法(労働基準法)が適用されないため、フリーランス、独立、起業、共同経営、アドバイザー、コンサルタント、理事、監事等については原則として就労時間の通算の必要はありません。

次に、労基法は適用されるものの労働時間規制が適用されないため農業・畜産業・養蚕業・水産業、管理監督者・機密事務取扱者、監視・断続的労働者等も労働時間の通算の必要はありません。

(但し、安全配慮義務の観点から、これらの人についても申告等により就業時間を把握し、配慮することが望ましい。)つまり、労働時間が通算される場合とは「労基法に定められた労働時間規制が適用される労働者」が、複数の事業場で労働した場合にその労働時間が通算されるということになります。

通算して適用される規定は、法定労働時間(労基法第 32 条)、及び時間外労働(労基法第 36 条)のうち、時間外労働と休日労働の合計で単月100時間未満、複数月平均80時間以内の要件についてです。

副業・兼業を許可する制度を導入した場合、最も悩ましいのは、労働時間の通算に関する管理と考えられます。制度を導入するにあたっては導入後に後悔することの無いようあらかじめ労働時間の管理方法等についてよく検討する必要があります。

 

参考資料

副業・兼業の促進に関するガイドライン

厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000962665.pdf

 

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