原材料費の高騰やエネルギーコストの上昇に対する顧客との価格交渉方法について(主に製造業を対象として)

新潟県よろず支援拠点コーディネーターの木村です。

県内製造業においては、原材料費の高騰や電力料の値上げに加え、雇用対策としての大幅賃上げの影響などから、製造原価の著しい上昇がみられます。
そのため、顧客に対する受注価格の値上げ交渉は、どこの会社でも重要な経営課題となっています。
今回は実際の価格交渉の進め方について説明いたします。
なお、具体的な価格交渉方法については、新潟県よろず支援拠点にご相談ください。

1.価格交渉前の準備検討事項
❶顧客別情報(自社における収益性など)の把握
❷顧客別に個別原価構造(工程別など)の確認
❸適正な原価計算基準(チャージや利益率など)の設定
❹材料・燃料等のコストアップ情報の準備
❺交渉の際の要求事項の作成
❻失注リスクの検討

2-1.まず敵(顧客)を知ろう
①・顧客別収益性確認、・自社における依存度確認、・顧客の成長性や将来性評価
②・収益性等の時系列変化の把握、・その顧客は勝ち馬か負け馬か、・顧客の経営管理レベル評価
③・自社との関係性(相手にとって無くてはならない?)、・価格交渉対応の柔軟性(余力)、・交渉担当者の評価(決定権の有無)

2-2.交渉の武器を作ろう
①・個別工程別加工時間の把握、・計画原価の労務・機械チャージの設定、・改善可能工程の発見
②・見積基準と原価管理の整合性確認、・計画原価と実際原価の差異分析、・改善提案可能な要素(工程)の発見
③・間接費の配賦基準の確認、・人件費水準等の検討、・適正利益の組み込み

2-3.交渉シナリオを考えよう
①・自社内原価改善を交渉の道具に、・梱包の簡素化、仕様の変更交渉、・出荷・配送の改善交渉
②・経費増と自社改善効果の比較調整、・増加経費一覧と価格アップ根拠の作成、・個別原価に対する影響データの提示
③・製品仕様に関する条件変更交渉、・品質管理基準と検査方法の再交渉、・要求品質の相互確認と負担の分担交渉

3.具体的な価格交渉プロセス
❶燃料費、電力費、原材料費、人件費別コストアップ予想金額の把握
❷顧客別収益性の把握から、顧客別価格アップ交渉の検討(可否も)
❸個別製品原価に対するコストアップ分加算基準の設定とシミュレーション
❹顧客別受注製品の個別原価確認、価格交渉対象製品の決定
❺対象製品別に必要値上げ額を設定、自社の改善可能工程と効果の把握
❻自社の改善可能効果を交渉材料として、バーターでの提案に活用(手の内を晒すべきか?)
❼顧客からの提示価格と自社のコストダウン効果とのシミュレーション
❽高収益顧客との交渉を優先するか、低収益顧客との交渉を優先するか?
❾失注リスクを念頭に、顧客との再交渉、取引の縮小、不採算受注回避
❿顧客の先のユーザーに対する、顧客による価格交渉状況の確認
⓫価格交渉における顧客ランキングの決定(担当者の決定権や人的評価)
⓬顧客における価格交渉担当者との過去の「貸し借り」の確認
⓭顧客企業の経営状況等の把握
⓮一律値上げ交渉か製品別個別交渉かの判断
⓯顧客における自社製品の位置付け(重要性や代替可能性)の確認
⓰最終製品における価格変動状況の確認
⓱既に収益性が高い顧客や製品についての、一層の値上げ交渉の実施
⓲原価(手の内)を示さずに、原材料や燃料の高騰分の上乗せ交渉とするか

4.価格交渉の具体策(価格交渉ノウハウ・ハンドブック(中小企業庁)より)

関連 項目 内容
原価関連 加工方法・材料変更 より効率的な加工方法や廃棄量の少ない材料への変更を提案する
設計変更 より少ない材料で製品が製造できる設計への変更(軽量化など)を依頼する
工程見直し 現加工プロセスにおける無駄を省く提案を行う
廃棄物の有価物化 加工プロセスで発生する廃棄物を販売できるようにすることの許可をもらう
省エネ化 より効率的で環境負荷の少ないエネルギー利用の推進を認めてもらう
材料費の変動反映依頼 材料費の高騰分を売価に反映できるよう依頼する
人件費関連 メンテナンスフリー化の提案 納品後のメンテナンスが削減される仕様を提案する
サービス体制変更の提案 過剰なサービス体制の変更を承諾してもらう
労務費の変動反映依頼 労務費の上昇分を売価に反映することを承諾してもらう
物流費関連 包装方法変更 簡易包装化や包装単位の変更を依頼する
納品頻度変更 納品頻度や納品数量単位を見直すよう依頼する
倉庫の変更 より安価で必要十分な倉庫の利用、安価な自社倉庫の有償提供を認めてもらう
検査費関連 検査基準見直し 不必要に厳しい検査基準の変更を提案する
検査方法の変更 過剰な個別検査からロット検査への変更などを提案する
調達・管理費関連 最小在庫オペレーションへの変更 双方にとって在庫が最小化される発注計画運用を提案し、リードタイムを短縮させる
固定費の変動費化 工程の外注化などを提案し、固定費の変動化への協力を仰ぐ
自社調達から材料支給へのシフト 親事業者から製品の材料を支給してもらうよう依頼する
材料調達価格折衝への協力依頼 より低単価で材料を購買できるよう、親事業者に協力を仰ぐ
不稼動金型への対応依頼 稼動していない金型の管理費を削減するため、必要な対応を依頼する
その他 支払条件の変更 キャッシュフロー改善を目指し、支払サイトの短縮化を依頼する
保証期間短縮 過剰に長期間となっている保証期間の短縮を依頼する

 

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