新潟県よろず支援拠点コーディネーターの渡辺です。
原材料や光熱費の高騰が続くなか、「値上げしたいが、いくらにすればよいか分からない」というご相談を飲食業の方からよくいただきます。その際、「一皿ごとの原価を把握していますか」とお尋ねすると、「レシピがグラム単位で決まっていなくて」「計算する時間がなくて」というお答えがよく返ってきます。
原価計算は、一皿ごとに食材を計量して単価を掛けて…と考えると、とても大変です。
そこで今回は、生成AIを使って、料理の写真から材料費を推定し、原価を計算する方法をご紹介します。
1.なぜ、まず「推定」なのか
原価計算が続かない一番の理由は、最初から正確さを求めてしまうことです。レシピがグラム単位で決まっていない店では、正確に計算しようとして手が止まり、結局そのままになってしまいます。
一方、「おおよその原価率が分かる」だけでも、次のような判断ができるようになります。
① 売価が安すぎる(原価率が高すぎる)メニューに気づく
② 値上げや量の調整の優先順位が決まる
③ 新メニューを、売る前に採算面から検討できる
一般に、飲食店の原価率は30~50%と幅広く、業態や客単価によって適正な水準は異なります。それがお店のスタイルともいえます。自店の価格と原価(粗利)が、そのスタイルから大きく外れていないかを見るだけでも、十分に意味があります。
2.従来の原価計算の手順
盛り付けた料理を見ながら、次の順で進めます。
① 料理を「構成要素」に分ける(主菜、ごはん、汁物、付け合せ、調味料など)
② 要素ごとに使っている食材と、おおよその量(g)を見積もる
③ 食材の仕入れ単価(円/kg)を、請求書や納品書から拾う
④ 皮・骨・筋など捨てる部分(歩留まり)を見込み、実際に仕入れる量に直す
⑤ 調味料、油、飾りなどの細かいものは、無理に分けず「一式」でまとめる
⑥ 合計を売価(税抜)で割って、原価率を出す
こんな手間がかかると思うと、気持ちが萎えてしまいますよね。
3.AIを使えば、写真から原価のたたき台ができる
やることは、次の3つだけです。
① 料理の写真、メニュー名、売価をAIに渡す
② AIが写真から、使われている食材とおおよその量(g)を挙げてくれる
③ 仕入単価はネットで調べた相場がひとまず入るので、お店の仕入れ価格に書き換えると、Excelが原価と原価率を自動で計算してくれる
写真は、スマホで撮ったままの普通の一枚です。メニュー名と売価を添えて送るだけで、ここまでできます。

たとえば、ちゃんぽん(売価860円)は次のようになりました。

原価は374円、原価率は約43.5%、粗利額は486円です。
同じ方法で、ラーメン、定食、パスタ、ピザなど25品を写真付きの一覧表と料理別シートにまとめました。

4.推定の精度を上げる
AIの推定は、お店の実際のレシピや盛り付けとは違うことがあります。次の2点で整えていきます。
① 食材と量を確認して直す
作っている本人が、実態に合っているかを確認し、Excelの材料名や量で違うところを修正します。野菜などは、まず「野菜」とひとまとめで構いません。
② 仕入れ価格をお店の実態に直す
AIが示した単価は、あくまで一般的な流通価格です。お店独自の仕入れ値があれば補正します。仕入伝票をAIに読ませて集計させることもできますし、野菜などをまとめた仕入値が知りたいときは、AIにまとめるよう指示してください。なお、伝票を読ませる際は、取引先名など出したくない情報は伏せて渡してください。
5.まとめ
原価計算で大切なのは、正確さよりも「使えること」です。AIを使えば、その第一歩のたたき台が写真から作れます。
おおよその推定でも、原価率が見えれば、値付けや量の見直し、メニューの入れ替えといった経営判断ができます。そして、推定を一度やってみると、「どの食材が原価を押し上げているのか」が見えてきます。そこから計量や仕入れ単価の確認を重ねれば、無理なく精度が上がっていきます。
「うちのメニューだとどう計算すればよいか」「値上げの幅をどう考えればよいか」といったお悩みも、ぜひご相談ください。
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